米国・海事法が改正されて思うこと

2022-06-27

米国で海事法の改正案が成立したと報道されています。
(S.3580、Ocean Shipping Reform Act of 2022)

長引くコロナ禍で港湾混雑のため高額なコンテナヤード費用の請求や、
コンテナ確保が困難という荷主の不満を受け、

改正案は、海運に対する反トラスト法の適用除外 を残したが、
船社に対してさまざまな制約を課し、合理的な理由なく船積みを拒否することを禁じるなど
法律で船会社を監視することを決めました。

▼「船会社だけが悪い」のだろうか?
たしかに需給バランスで運賃相場が決まるのは理解できますが、
海上コンテナ運賃の高騰ぶりは異常で、コンテナ1本数万ドルという運賃は確かに高い。

今回の改正海事法で法的に船社だけでなく、鉄道・トラック事業者間との情報共有を促し、
輸出入物流コストに枠をはめるとのこと。

これを受けて、船社団体のWSC(ワールド・シッピング・カウンシル)は、
陸上インフラのキャパが急激な貨物量アップに対応できていないことを無視して、
海運業界だけを悪者に仕立て上げていることを米政府に対して批判しています。

▼海運業界は、”クジラと同じ”
現在の海運業界が利益を上げていることは事実だが、
過去20年間、利益率が非常に低いか全く無い状態であったなど
コロナ前までコンテナ運賃は極めて低水準で推移し、
コンテナ船業界が塗炭の苦しみを味わってきたことはまだ記憶に新しい。

国内トラック運賃より、近海向けコンテナ運賃のほうが安いという状態は当たり前でした。

海運業界は、いままでも好況となるのは短期間で、
ほとんど水面下を潜っているクジラと同じようだと 自嘲する言い方もあります。

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