新政権の目玉、「デジタル庁」に期待したいこと

2020-09-23

新政権の目玉ともいわれている「デジタル庁」について、
マイナンバー制度のことが多く報道されていますが、  
貿易実務の最前線で使われている「NACCSシステム」の現状についても考えてみましょう。

▼「NACCSシステム」とは?
輸出入実務で使われているプラットフォームで、官民にまたがるシステム。
みなさま方荷主各社と、運送会社、保険会社、銀行などの民と
税関(財務省)、輸入割当(経産省)、食品検査・検疫(厚労省、農林省)などの官とを結んでおり、
実に多岐にわたっている。

2008年以来使われているシステムですが、 実に使い勝手の悪いシステムともいわれており、
そのため、実務現場ではいろいろの工夫で運用されています。

システム上だけでは処理しきれないことは、補足的に紙ベースでの処理が行われている。
これが結構多い。
ハンコ(印鑑)が必要なこともあるが、まさに「縦割り行政」そのものだからでしょうか。

NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)
入出港する船舶・航空機及び輸出入される貨物について、
税関その他の関係行政機関に対する手続及び関連する民間業務をオンラインで処理するシステム。

▼「他法令」という言葉が横行している
実務現場で貨物の輸出入を行うためにフォワーダーに見積もり依頼すると、
必ず聞かれることがあります。「貨物は、他法令ですか?」

税関(財務省) が所管する外為法以外の貨物かどうか、
 つまり他の省庁での許認可が必要な貨物でしょうか?  という意味です。

なぜ、このようなことをフォワーダーが荷主に確認するかというと、 
複数の役所がからむ権限(縄張り?)があるから、納期保証はできませんよ、
その許認可は皆さん荷主さんサイドの責任でお願いしますよ、という意味でしょうか。

「社会全体のデジタル化に向けた強力な推進力になるように、  
役所の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打破していく」と表明した新政権に、
行政サービス(マイナンバー制度)だけでなく、
NACCSシステムも含めて考えてもらいたいと思います。

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