水問題のご研究とインコタームズ

2019-05-07

新天皇が「水問題の研究者」であることはよく知られています。
水のことに関しての研究対象の幅が広く、さらに深い見識に基づいて
国連や国際水会議でご活躍されています。

「水運史から世界の水へ」著者 徳仁親王、NHK出版刊
この本は、皇太子時代のお名前で今年の4月に初版が発刊されました。

この著書にユーモアあるご回答がありましたのでご紹介いたしましょう。

オックスフォードご留学時代から水の研究に取り組まれたとのことですが、
一部の方から「洪水の研究をされている」と思われていたようです。

これに対して、
「確かにマートン・コレッジの寮で洗濯物を詰めすぎて洗濯機が洪水を
起こしたことはありましたが、洪水の研究はしておりませんでした。
しかし、私が水関係でかかわってきている問題と密接に関係していることに
不思議なご縁を感じています」

■17-18世紀のテムズ川の水上交通
オックスフォードご留学での研究テーマ:テムズ川を利用した物資の輸送や
水路の歴史など、 専門的な考察を興味深く読まさせていただきました。

水上交通については、
江戸時代の東京湾と内陸をつなぐ物資輸送について、京都や瀬戸内海の水運にも詳しく、
わかりやすい講演をされています。

■インコタームズの「海上・内陸水路輸送手段に適した4 Rules」
内陸水路輸送手段 というとピンとこない表現ですね。

現代の日本では内陸水路輸送はほとんど影を潜めて、
トラック輸送に切り替わっておりますが、
テムズ川をはじめ、ライン川でも、揚子江など世界の大きな河川流域では
依然として主要輸送手段として、内陸水路輸送が利用されています。
そのために、インコタームズではこのような区分けがされているのです。

この著書に書かれている「水上交通」を読むと、よく理解できるのではないでしょうか。

■水の恵みと災いについても
この著書の最後が実に印象的ですので、一部引用させていただきます。

「山から流れ出る水は飲み水として、あるいは農業用水として私たちに多くの恵みを
もたらします。
しかし、水は特に少な過ぎたりあるいは多過ぎたりして、人々に大きなダメージを与えます。
人々がどこでも水とともに平和にゆったりと過ごせる世界を実現できるよう、
私も今後とも取り組んでいきたいと思います」
(第2回国連 水と災害に関する特別会合 基調演説、2015.11.18)

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