甲乙、誠意をもって協議する
かつて「世界まるごとハウマッチ」でレギュラーだった
ケント・ギルバート氏の最近の著書で読みました。
「日本覚醒」(ケント・ギルバート著、宝島社刊)
カリフォルニア州弁護士として国際法律事務所に所属し
日米間企業の契約支援をしていた頃の経験談。
契約法務についてわかりやすく書かれていますので、
ちょっと引用してみましょう。
■日本の契約書には、必ず
「契約について問題あったときは、甲乙、誠意をもって協議する」
という条項が入ります。
この条項について、
アメリカサイドからは必ず削除しろといわれます。
・あいまいにするのは嫌だから
・契約書とはいえない
この条項の意味を何度も説明しました。
・この条項を入れることで訴訟にならないですむ
・この条項があれば、日本側は誠意をもって協議してくれる
といっても、
・そんなことがありうるか!
・誠意って、なんだ、はっきりしなじゃないか
・むしろ、ないほうがいい
■この条項を残したい一番の理由は、
この条項があることで、
日本の企業は本当に誠意をもって協議してくれるからです。
最終的に関係が壊れてしまえば、
別にこの条項があってもなくても、ダメなものはダメですが、
それまでは誠意をもって協議してくれます。
だから、アメリカサイドには、
・この条項があっても困らないじゃないか
・絶対にあったほうがいいんだよ
と、いつも説明していました。
■まとめに書いてあること
日本人にとって当たり前の誠意や善意は、
アメリカに限らず、外国では通用しません。
相手に自分の誠意が通じると思ってはダメです。
相手の誠意を期待してもダメです。
と、結論づけています。
■英米法での考え方(完全合意条項)
「本契約は、契約製品の販売に関して、本契約当事者間の
完全かつ唯一の合意を構成し、本契約の修正、変更または
改定は当該当事者を拘束するものではない」
つまり、契約についてあとから問題がおきないように、
事前にすべての状況を想定して契約文にしておく考え方です。
考え方の違いについて、ご参考までに